先日、「西都市にも美術館はないのかな」…と情報も少ないなかで調べて見つけ出した、とある小さな美術館を訪ねて参りました。
場所は、宮崎県西都市三納。
こちらの美術館は、2階建ての個人宅を展示スペースとしてアレンジしているので、詳細なアドレスや写真の掲載は控えさせていただきます<m(__)m>
ここには、宮崎県西都市出身の画家・弥勒祐徳(みろくすけのり)さんの絵画が展示されています。
「美術館」と書かれた看板が置いてありましたので、声をかけてから中に入らせていただきました。
1階には大きな額に入った絵が数点飾られていました。
弥勒先生は今年(2019年)100歳になられたのですが、先生が今年描かれた大きな作品も2点飾ってありました。
木喰五智如来像の水墨画と、大きな太陽の油絵です。
100歳になられても描かれていることに驚きました。
私の中の「100歳像」なる、ぼんやりとした想像が、打ち砕かれました。
生涯芸術家って素敵です。
仏像や神楽の様子を描いたものだけでなく、風景画もたくさんあります。
階段を上がって2階には、小さな額に入った風景画がたくさん飾られていました。
油絵ならではの多色の重ね塗りで、とてもあたたかい自然の情景が表現されていました。
わたしは美術の授業で水彩画やアクリル画の経験が少しあるのみで油絵をやったことがないので、油絵でこそ出せる表情というものがとても素敵だなぁ、と思います。
自然の荒々しさ、素朴さ、寛大さを構図や塗り方、色使いなどから感じられて、とても魅せられました。
美術館を出て、もう1カ所、【神楽館】という弥勒先生の作品を保存している場所があるということで、こちらも見せていただきました。
場所はこちらです。↓
ここはGoogle mapにも情報が載っているようです。
西都市役所市民課三納支所の道路を挟んで向かいにある建物が【神楽館】です。
こちらに、弥勒先生の描かれた絵や、木の彫像を展示、保存してあります。
建物の前に並べられた大きな木製の彫像たちです。
弥勒先生自身が彫られたものと、先生のご友人が彫られたものだそうです。
神楽館は、「展示館」というより「倉庫」といった感じです。
閲覧許可をいただいて中に入らせていただきました。
中は決して広くはありませんが、そこに並ぶ棚という棚の中に、相当な点数の絵が収められています。
弥勒先生の自画像から始まり、先生の奥様の肖像画、女性像、仏像、西都原のコスモス、西都原の桜、夜桜、日の出、向日葵、はまゆうなど…
各テーマにつき、番号をふって何枚も何十枚も描かれています。驚きました。
棚に本のようにびっしりとキャンバスが並べられており、そのひとつひとつの側面に絵のタイトルとナンバー、日付が書かれています。
興味をひかれたタイトルのキャンバスを、そっと抜き出して、明るいところで眺める…というのを何度も繰り返しました。
撮影許可をいただいたので、気に入った絵をいくつか写真に収めました。
わたしは、とある「向日葵」の絵がとても気に入りました。
「向日葵」だけでも数多く描かれていますが、ひとつひとつ、線や色味が出す表情が違っていてとても味わい深かったです。
そしてもうひとつ、とても魅せられて写真に収めたものが、先生が先生の奥様を描かれた「最後の母の日」という絵です。(確かこのタイトルだったと記憶しています…)
小さなキャンバスの中に大きく、奥様のお顔が描かれていました。
全体的に茶色っぽい色味で、しかしお顔は白くほんのり赤く輝いてみえて、左下から右上にザァっと吹き上げるような筆筋で、絵の中の彼女の表情に胸を掴まれるような感じがしました。
奥様の、生前最後の母の日に描かれた作品なのでしょうか。
この絵や、他にも何枚何十枚とある奥様の肖像画を眺めながら、しばらく涙が溢れて止まらなくなりました。
ひとつひとつの絵がもつ表情や、その絵たちの中に詰まっている優しいものや愛や生活を感じたのだと思います。
こんなにも心を動かされるとは。
わたしのこれまでの人生は、美術は学校で学ぶ程度で、それよりも音楽に深く傾倒してきました。
美術の専門知識はほとんどなく、世界の著名な画家の名前と作品も結びつかない、その程度でした。
しかし2年前、とあることがきっかけで、初めて自分の素直な気持ちから、絵に興味を持ちます。
そこから、休日には「美術館へ行く」という新しい趣味ができました。
絵を味わうことができるようになった自分に、一昔前のわたしは驚いていると思います(笑)
芸術は素晴らしいです。
芸術は、音楽も美術もやはり、良いなとつくづく思います。
神楽館には2時間弱いたかな、と思います。
没頭し過ぎました。反省。
幸運なことに、ちょうど近くに来られていた弥勒先生にお会いすることができました。
御年100歳とは思えぬとても元気なお姿です。
快活明朗、おひとりでよく出掛けられるそうです。
また、今度は誰かを連れて絵をみに来たいと思います。
絵の世界に浸って、先生にもお会いできて、芸術のよさを再び実感できたとてもよい一日でした。
終わり
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